昆虫食の未来とゲノム編集技術【コオロギのゲノム編集食品】

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イントロダクション

技術士試験対策シリーズの第1弾。
敢えてこのテーマを選びました。

以前、徳島の求人で、コオロギ工場の生産技術職の案件を見たことがあり、虫嫌いの僕は
「絶対ムリ!」
と思っていました。

なぜ
「食糧不足(たんぱく源危機)→昆虫食」
になるのか疑問でもありました。

だって、虫が嫌いなんです。。。

しかし、こちらの記事を見て少し納得しましたので、今回テーマアップしてみました。

徳島大学発、食用コオロギのパイオニアがたんぱく質危機を救う

まず、大きな誤解として、コオロギをそのまま食べると思っていました。

乾燥コオロギもあるようですが、そうではなく、粉末にして食すのですね。

まぁ工場ではそのままの姿で育てて粉末にするのでしょうから、生産者側がムリなのは変わりませんが。。。

で、すでに無印良品で「コオロギせんべい」が発売済みで、「コオロギチョコ」も販売開始したとのこと。

確かに、「コオロギせんべい」を見る限り、エビせんの感覚なのかなと思いました。

僕はエビもカニも見た目がムリなので、剥き身か調理済みのものしか購入しませんが、姿形がなければ食べれます。
というか、おいしく、栄養価も高いという認識です。

また、エビ・カニは高価なので、生産コストもかかっているのでしょう。

となると、確かにコオロギの養殖は有望なのかも知れません。

課題と解決策について考察してみる

ゲノム編集食品の是非

技術的には、ゲノム編集による突然変異を狙っているようです。

これにより、従来比1/10の期間で品種改良が可能になるとのこと。

生産性が高まるのは結構なことですが、これを聞いて気になるのは人体への影響です。

如何せん門外漢なもので、ちょっと調べてみました。

ゲノム編集食品のリスクとベネフィットを考える「なぜ安全性審査の対象外なのか」

こちらの記事に、ゲノム編集食品としてトマトや魚(マダイ、トラフグ)の例を取り上げています。
ゲノム編集は遺伝子組換えではないので、安全性審査の対象外なのだとか。

記事中に
「GM(遺伝子組換え食品)に関する科学的根拠のないビデオで、ネガティブ・キャンペーンをされているようです。」
という記載があります。

従来の品種改良をスピードアップさせただけで、普段普通に食べているものは全て品種改良されたものであり、それらと変わらない。だから安全だ。
との論調です。

しかし、「普段食べているものは安全」という前提は正しいのでしょうか。

小麦の例を挙げると、小麦の生産性や食用としての使い易さ・おいしさを追及して品種改良した結果、従来種にはなかった(あっても少量だった)グルテンを大量に含む品種が主流となり、セリアック病やアレルギーを引き起こすことになったわけです。

アレルギーチェックをして、陽性の人は摂取しなければ良いのかも知れませんが、技術者としては、前提を疑い、根本対策を考えるべきではないでしょうか。

一応、厚労省のHPでリスク評価データを公開しているようです。

ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領に基づき届出された食品及び添加物一覧

この評価項目で網羅できているのかは不明ですが、開発者としての最低限の責任は果たしているというところでしょうか。
現状では、このリスク評価をするしかないのだと思いますが、評価項目は人体への影響に終始しており、持続可能性を評価項目に入れてはどうかと思いました。

ノーリスクで新技術開発できるほど簡単ではないので、ある程度のリスクは覚悟で技術開発をしていくという選択をするのが現代なのでしょう。

因みに、ゲノム編集コオロギについては厚労省の上記ページには公開されていませんでした。

ここだけは押さえておいた方が良いと思いますよ。

エサと持続可能性

素朴な疑問で、コオロギの養殖において、エサは何を与えるのでしょうか。

記事中には、「食品廃棄物をコオロギの餌にすることでサーキュラーフード(循環型食材)を実践。」との記載あり、こちらもメリットと呼べるのでしょう。

少し前にウニの養殖についての記事を読みましたが、これにも食品廃棄物(キャベツや各地の特産品)が利用されており、食品残渣の活用は最近のトレンドですね。

ただ、少し調べてみたのですが、コオロギは
「動物性タンパク質が不足すると共食いを起こす」
とのこと!

いや、これはやばいですね。

まず、そのような光景を見たくないというのがありますが、たんぱく不足を解消するための昆虫食なのに、エサにタンパク質が必要となると、本末転倒のような気がします。
恐らくその辺もゲノム編集で解決済みなのだとは思いますが。

生産技術

他の食品と同様、基本自動機での生産になるものと推測します。

記事にもある通り、
「2021年上半期には給餌、給水、収穫、清掃の工程を自動化した半自動化システムのプロトタイプを導入し、大幅な効率化を図った。」
とのこと。

さらに、
「最終的には卵からパウダーにするまでの全工程を自動化することを視野に入れている。」
とのことで、フルオートの工場になるものと思われます。

恐らく技術的には難しくなく、既存の技術で対応可能なのだと思います。

今後の展望を予想してみる

ビジネスとしては、社会的ニーズもあり、有望そうです。

今後、ブランドコオロギや、地鶏ならぬ地コオロギなどが出てくるかも知れません。

僕個人的には、エビ・カニの置き換えで考えた方が、消費者側としては消費のハードルが下がるのかなと思います。

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