イントロダクション
当ブログでも過去に何度か取り上げている「カーボンニュートラル」をまたテーマアップしました。
【過去の記事】
カーボンニュートラルとエネルギー問題(鉄鋼業界編)
【トヨタのEV戦略で思う】カーボンニュートラルとエネルギー問題
早いもので第3弾になります。
では、こちらの記事を見ながら考察してきたいと思います。
【参考記事】
ゼロカーボノミクス中国独走の深層、日本総研・井熊氏が解読
まず、「ゼロカーボン」の語感に強い違和感を持ってしまうのですが、僕の感覚では「カーボンニュートラル」や「ネットゼロ」の方がしっくりきます。
だって、ゼロカーボンというと、有機物がすべて使えないことになります。
人間含めたすべての生き物(動植物)は有機物ですからね。
もっと言うと「CO2ニュートラル」がベストな気がしますが、そのような表現は殆ど使われていませんね。
以前は「CO2排出削減」と言われていたのに、いつの間にか「ゼロカーボン」と言われるようになっています。
何らかの意図があるのだと思いますが、不明です。
余談ですが、グーグル先生に聞いてみると、フォルシア・ジャパン社だけが「CO2ニュートラル」という表現を使っていました。
閑話休題
そもそも、カーボンニュートラルの潮流は、
「強くなり過ぎた日本・ドイツの自動車メーカーを貶めるためのゲームチェンジだ」
とよく言われます。
それも一理あるのでしょうが、もっと大きな政治的理由があることを知りました。
上記リンクの記事にある通り、
「産業革命を起こして、アフターコロナの経済復興を狙う。」
そして、
「その経済復興における熾烈な主導権争いをしている。」
ということになります。
CO2問題は、自動車産業界のみならず、すべての産業に関わる超巨大な市場(千兆円単位の市場規模だとか)に影響を及ぼします。
ここで主導権を得たら、世界の覇者になれるのです。
だからこそ、中国が躍起になっているわけですね。
課題と解決策について考察してみる
EX(エネルギートランスフォーメーション)
一昔前は、エネルギー問題と言えば、
「化石燃料の枯渇に対する危機感から、代替エネルギーの必要性を訴えたもの」
だったように思います。
でも今は違います。
「環境保全や持続可能性がキーワードとなり、CO2の増加を抑えなければならない」
という話にかわっています。
エネルギー問題を考える時、発電方式が肝となります。
水素も次世代エネルギーとして有望視されていますが、水素を作るのにも電気が必要になりますので、結局は「電気」ということになります。
※再生可能エネルギーを使用して作られた水素を、グリーン水素と呼びます。
【参考記事】
次世代エネルギー「水素」、そもそもどうやってつくる?/経産省 資源エネルギー庁
現状、発電量の殆どを火力に頼っている日本は、圧倒的不利なポジションにいます。
因みに、日本の火力発電の供給率は段々低下傾向ではあるものの、約75%程もあります。
一方、ヨーロッパは風力などの再生可能エネルギーが占める割合が高く、その分優性です。
ですから、日本と違いヨーロッパにおいては、EV普及がカーボンニュートラルに繋がるわけです。
で、中国はどうかというと、世界で最も原子力発電所を建設しています。
世界2位のロシア25、3位のインド24に対し、中国は40という圧倒的な差で世界1位なんです。
これが、日本や欧米諸国がエネルギー政策でマネできない最大のポイントになります。
しかも、中国は太陽光パネルの出荷量も断トツの世界一。
これだけ見ても、カーボノミクスで中国が独走状態と言っても過言ではありません。
※太陽光パネルメーカーのランキングtop10に8社もランクインしており、ほぼ独占状態です。
このように、エネルギー政策ではまったく太刀打ちできないのですが、そこは技術の日本。
原発メーカーの世界シェアに日系3社が食い込んでいます。
2位 三菱重工
3位 ウェスティンハウス(東芝)
4位 日立
すごいですよね。
恐らく、この分野は、太陽光パネルと違い技術のコモディティ化は難しく、日本の優位性は当面は安泰だと思います。
更に、中国一強の太陽光パネルですが、そこに使われる素材・部品レベルでみると、まだまだ日本は競争力を持っています。
【参考記事】
脱炭素を担う太陽光パネルは中国独占、日本が脱炭素化で主導権を奪うには?
やはり、日本は得意の素材分野を抑える戦略が現時点では良さそうです。
ここは国を挙げてサポートして頂きたいですね。
バイオマス
バイオ分野ではまだ日本の方が優勢ではありますが、原子力と比べるとパワー不足は否めません。
ただ、バイオ技術は応用が利くので、そちらに期待したいところです。
カーボンネガティブ(CO2回収、カーボンリサイクル)
こちらが、今の日本では有力ではないでしょうか。
技術的にも進んでいますし、国内事情に則した現実的な路線だと思います。
さらにバイオマスエネルギーを組み合わせたBECCSという技術があります。
【参考記事】
技術革新がもたらす新しいゼロカーボン・エネルギー技術<2>BECCSとDACCSとは
世界規模ではありませんが、国内のカーボンニュートラル宣言には十分に貢献できます。
今後の展望を予想してみる
このように、技術的にもかなり広範囲に影響を及ぼす過去最大の産業革命になることは間違いありません。
この先、人口減少など国力が低下していく日本にとって技術力で解決できることがたくさんあります。
最近よく「日本はオワコン」なんて言われますが、ピンチはチャンス、むしろ日本再興のチャンスだと思います。
未来は希望に満ちている。
落合陽一さんの著書「日本再興戦略」も面白かったので、読んでみてください。
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